FXのレバレッジ最大25倍はどこから来る?条文が定めているのは証拠金4%

FXの解説を読むと、必ず「個人は最大25倍」と書いてあります。ただ、その25という数字がどこから来ているのかまで書いてある記事はほとんどありません。

結論を先に書くと、法令には25倍という言葉は出てきません。定めているのは取引額の100分の4以上の証拠金という条件で、その逆数が25倍です。しかも規制されているのは取引する人ではなく、金融商品取引業者のほうです。この記事では条文を追いながら、自分が実際にかけている倍率の出し方までを整理します。

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FXのきほん編集部仕組み・コスト・リスクを法令と公的資料で確かめる解説メディア

法令はe-Gov法令検索の条文で確認しています。相場の予想や売買の助言は行いません。金額の例は仕組みを説明するための計算であり、取引の推奨ではありません。

法令が定めているのは倍率ではなく証拠金の割合

資金を管理するイラスト

根拠は金融商品取引業等に関する内閣府令です。第117条第1項第27号は、通貨関連デリバティブ取引の契約を締結するときに、個人である顧客が預託した証拠金等の額が「約定時必要預託額」に満たない状況を、金融商品取引業者の禁止行為として挙げています。ここに書かれているのは倍率ではなく、預けるべき金額の下限です。

約定時必要預託額は取引額の100分の4

その約定時必要預託額の中身を決めているのが同条第7項です。取引の額に100分の4を乗じて得た額、または当該額に外国為替相場の変動を適切に反映させた額と書かれています。

取引額の4%を預ければ取引できる、ということは、預けた額の25倍までの取引ができるという意味になります。4%の逆数が25だからです。つまり25倍は、条文に書かれた割合から計算で出てくる数字です。

条文を読むときは、次の3語の関係を押さえると迷いません。

  • 取引の額 … 建てたポジションの金額
  • 約定時必要預託額 … 契約するときに必要な証拠金(取引の額の100分の4)
  • 維持必要預託額 … 持ち続けるあいだに必要な証拠金(同じく100分の4)

取引を続けるあいだの水準も同じ4%

同条第8項は「維持必要預託額」も同じく取引額の100分の4として定めています。契約するときだけでなく、ポジションを持ち続けているあいだも同じ水準が基準になるということです。

また第6項により、これらの金額は複数の通貨関連デリバティブ取引について顧客ごとに一括して算出できます。ポジションを複数持っている場合、口座全体でまとめて判定される形です。

条文定めていること取引する人から見ると
第117条第1項第27号契約時の証拠金が約定時必要預託額に満たない状況を禁止最低限の証拠金がないと新規建てできない
第117条第7項約定時必要預託額は取引額の100分の4上限が25倍になる根拠
第117条第8項維持必要預託額も取引額の100分の4保有中も同じ水準が基準
第123条第1項第21号の2・3ロスカット取引の管理体制の整備と実施ロスカットは各社の親切ではなく義務

規制されているのは取引する人ではなく業者

ルールに守られている状態のイラスト

見落とされがちなのは、これらの条文がすべて金融商品取引業者の禁止行為として書かれている点です。第117条は金融商品取引業者等の禁止行為を列挙する条文で、第123条も業者の状況について規定しています。取引する人に義務を課す形ではなく、業者が受け付けてよい条件を絞るという形をとっています。この違いは、上限の意味を読み違えないために大事なところです。

だから業者側が上限を設定している

取引する人が「25倍を超えてはいけない」と直接命じられているわけではなく、業者が4%未満の証拠金で受け付けてはいけない、という形になっています。結果として、口座のレバレッジ設定に25倍を超える選択肢が出てこない、という見え方になります。

なお、この規制は個人の顧客についてのもので、条文でも「個人」に限る旨が明記されています。法人口座の扱いは別の号で定められており、同じ4%固定ではありません。

個人と法人では、条文上の扱いが分かれています。

  • 個人の口座 … 証拠金は取引額の100分の4で固定(上限25倍)
  • 法人の口座 … 別の号で定められ、4%固定ではない
  • どちらも規制されているのは業者の受け付け方

ロスカットも府令で義務づけられている

同じ府令の第123条第1項第21号の2は、あらかじめ約した計算方法により算出される額に達した場合に決済を行う取引(ロスカット取引)のための十分な管理体制を整備していない状況を禁止しています。続く第21号の3は、ロスカット取引を行っていないと認められる状況を禁止しています。

ロスカットは各社が独自に用意しているサービスではなく、制度として求められている仕組みだ、ということです。ただし発動する水準は各社が定めるため、同じではありません。

編集部

「25倍まで使える」と読むと危ないところです。条文は上限を決めているだけで、その水準で取引することを勧めてはいません。

設定の倍率と、実際にかけている倍率は違う

取引画面を操作するイラスト

口座の設定で選ぶ倍率は「最大でここまで」という枠にすぎません。実際にどれだけ効いているかは、建てたポジションの大きさと預けたお金の比で決まります。これを実効レバレッジと呼び、同じ設定のままでも日々変わります。上限の25倍ばかり見ていると、この数字を見落とします。まずは出し方から押さえていきます。計算はとても簡単です。

実効レバレッジの出し方

計算は単純で、ポジションの金額を口座の資産で割るだけです。1ドル150円のときに1,000通貨を建てると取引額は15万円で、口座に15万円あれば1倍、3万円なら5倍、6,000円なら25倍です。

同じ1,000通貨でも、入れている金額によって効き方がまったく変わります。ここでの金額は仕組みを示すための計算例で、取引を勧めるものではありません。

預けている額1,000通貨(取引額15万円)のとき1円動いたときの損益
15万円実効レバレッジ 1倍1,000円(資産の約0.7%)
3万円実効レバレッジ 5倍1,000円(資産の約3.3%)
1万円実効レバレッジ 15倍1,000円(資産の10%)
6,000円実効レバレッジ 25倍(上限)1,000円(資産の約16.7%)

同じ値動きでも、資産に対する打撃の大きさがまるで違います。表の右端の割合が、実効レバレッジの意味そのものです。

  • 実効レバレッジ=ポジションの金額 ÷ 口座の資産
  • ポジションを増やすと上がる
  • 入金すると下がる
  • 含み損が増えると資産が減るので上がる
  • 口座の設定値を変えなくても、日々動いている

少額で始めるときに起きやすいこと

「1,000円から」「1万円から」という始め方では、同じ1,000通貨でも実効レバレッジが高くなりがちです。取引の単位を小さくできる会社なら、100通貨単位などでさらに小さく始める選択肢もあります。

取り扱う単位は会社によって違うので、口座を選ぶ段階で各社の公式ページを確認してください。金額の下限だけで選ぶと、実効レバレッジが高い状態から始めることになりがちです。

レバレッジを下げる、かけない、という選び方

選択肢を比べて選ぶイラスト

上限まで使わない、という選択は普通にできますし、そのほうが値動きに耐えやすくなります。口座の設定でレバレッジコースを低いほうにする方法もありますし、設定はそのままで建てる量を小さくしても、実効レバレッジは下がります。どちらの方法も効き方が違い、値動きで生じる損益そのものが変わるのは後者だけです。違いを順番に見ていきます。

1倍に近づけると外貨預金に似てくる

取引額と同じだけの資金を入れておけば実効レバレッジは1倍で、値動きの影響は外貨を現物で持つのに近くなります。ただし取引の仕組みも、かかるコストも、税金の扱いも外貨預金とは別物です。

同じ「1倍」でも、FXにはスプレッドやスワップポイントという別の要素があります。コストの考え方はコストのカテゴリで扱います。

下げたつもりで下がっていないこともある

設定を低い倍率にしても、建てる量が同じなら必要な証拠金が増えるだけで、値動きで生じる損益の額は変わりません。実効レバレッジを下げたいなら、量を減らすか資金を増やすかのどちらかです。

  • 設定を下げる … 新規に建てられる量の上限が下がる
  • 量を減らす … 値動き1円あたりの損益そのものが減る
  • 資金を足す … 同じ量でも資産に対する割合が下がる
  • ポジションを閉じる … 実効レバレッジは0になる
編集部

設定の倍率を触るより、建てる量を見直すほうが効きます。数字が動くのは量と資金のほうだからです。

口座を持つ前に確かめておくこと

取引を始める人のイラスト

レバレッジの上限は法令で共通なので、この点で会社を選ぶ意味はありません。違いが出るのは取引単位やロスカットの水準といった各社の設定です。数字は改定されることがあるので、比較サイトの表ではなく、各社の公式ページで確認した日付とあわせて見るのが確実です。ここでは、口座を開く前に最低限そろえておきたい確認項目を挙げます。

登録を受けた業者かどうか

国内でFXを扱うには金融商品取引業の登録が必要です。金融庁は免許・許可・登録等を受けている業者の一覧を公表しているので、名前が載っているかを確認してください。

ここまで見てきた証拠金やロスカットのルールは、登録を受けた業者に課されているものです。無登録の業者を使うと、この前提そのものが成り立ちません。

確認することなぜ見るのかどこで確認するか
金融商品取引業の登録証拠金やロスカットのルールが及ぶ前提金融庁が公表する免許・許可・登録等を受けている業者の一覧
最小取引単位実効レバレッジをどこまで下げられるか各社の公式サイトの取引ルール
ロスカットの水準どの証拠金維持率で決済されるか各社の公式サイト・契約締結前交付書面
レバレッジコースの有無上限を自分で下げられるか各社の公式サイト・口座の設定画面

取引単位とロスカットの水準

最小の取引単位は、実効レバレッジをどこまで小さくできるかに直結します。ロスカットの発動水準も各社が定めるため、同じ証拠金維持率でも扱いが違います。

  • 最小取引単位(1,000通貨か、100通貨か)
  • ロスカットが発動する証拠金維持率
  • その手前で通知が届くか(アラートの有無)
  • レバレッジコースを選べるか
  • スプレッドが原則固定か、例外の条件は何か
編集部

レバレッジの上限はどこも同じなので、会社選びで見るのは取引単位とロスカットの水準です。数字は変わることがあるので、確認した日を控えておくと後で困りません。

よくある質問

レバレッジについて検索で多く見かける疑問を取り上げます。法令の内容は条文にもとづいて答えていますが、各社の設定値や運用は会社ごとに違うため、最後は利用する会社の説明で確認してください。金額の例はいずれも仕組みを説明するための計算であり、特定の取引を勧めるものではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。

なぜ25倍までなのですか

法令が25倍という倍率を定めているのではなく、証拠金の割合を定めているためです。金融商品取引業等に関する内閣府令 第117条第7項が、約定時必要預託額を取引の額の100分の4(または為替相場の変動を適切に反映させた額)と定めており、その逆数が25になります。

同条第1項第27号は、個人の顧客についてこの額に満たない証拠金で契約を締結する状況を、業者の禁止行為としています。つまり上限は、業者が受け付けられる条件として決まっているものです。

レバレッジをかけないこともできますか

できます。取引額と同じだけの資金を口座に入れておけば、実効レバレッジは1倍になります。口座のレバレッジ設定を低いコースに変更できる会社もあります。

ただし1倍にしても、為替が動けば損益は発生します。値動きの影響が資産に対して小さくなるだけで、損失が出ない仕組みではありません。

ロスカットは必ず実行されますか

金融商品取引業等に関する内閣府令 第123条第1項第21号の2と第21号の3は、ロスカット取引のための管理体制の整備と、実際にロスカット取引を行うことを業者に求めています。制度として用意されている仕組みです。

一方で、相場が急に飛んだ場合には、想定した水準で決済できるとは限りません。預けた証拠金を超える損失が生じるおそれがある点は、各社の契約締結前交付書面にも記載されています。

少額だとレバレッジは高くなりますか

同じ量を建てるなら、預ける金額が少ないほど実効レバレッジは高くなります。1ドル150円で1,000通貨なら取引額は15万円なので、1万円の口座では15倍、6,000円では25倍にあたります。

取引単位を100通貨まで小さくできる会社であれば、同じ資金でも実効レバレッジを下げられます。単位は会社ごとに違うので、各社の公式ページで確認してください。

まとめ

個人のFXで上限が25倍とされているのは、金融商品取引業等に関する内閣府令が証拠金を取引額の100分の4以上と定めているからで、25という数字はその逆数です。規制の名宛人は取引する人ではなく金融商品取引業者で、ロスカットについても管理体制の整備と実施が府令で求められています。上限いっぱいで取引することを勧める規定ではありません。

実際に効いているのは口座の設定値ではなく、ポジションの金額を資産で割った実効レバレッジです。量と資金の2つで決まるので、下げたいときはそのどちらかを動かします。設定を変えただけでは、値動きで生じる損益は変わりません。仕組みの用語は仕組み・用語のカテゴリ、証拠金維持率やロスカットの詳細はリスク管理のカテゴリで扱っていきます。

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取引にあたっての注意

店頭外国為替証拠金取引(FX)は、少額の証拠金で大きな金額の取引を行うため、為替相場の変動によって預けた証拠金を上回る損失が生じるおそれがあります。当サイトは情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や、売買の助言を行うものではありません。取引の前には各社の契約締結前交付書面を必ずお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。